スマートフォンで銀行口座などの取り引き記録をまとめて管理できる「家計簿アプリ」の人気が高まっていますが、自動的に記録を集められるよう、ネットバンキングのIDやパスワードを事業者に預ける必要があり、情報の流出を心配する声も出ています。このため、信頼できる事業者には、銀行が直接、口座の記録を提供し、IDなどを知らせずにアプリが利用できるようにして安全性を高める取り組みを、大手銀行が始めています。
「家計簿アプリ」は、スマートフォンで複数の銀行口座やクレジットカードなどの取り引き記録をまとめて把握できるサービスで人気が高まっていますが、自動的に記録を集められるよう、ネットバンキングで使うIDやパスワードを事業者に預ける必要があり、情報の流出を心配する声もあります。
このため、「三菱東京UFJ銀行」は、サービスの内容や情報管理の体制を審査して問題がないと判断した事業者には、利用者の同意を条件に、口座の取り引き記録を提供する取り組みを、ことしの秋以降始める方針です。
これによって、利用者はIDやパスワードを事業者に預ける必要がなくなり、リスクを減らせるとしています。
銀行側としても、ITを駆使する事業者との連携を広げる狙いがあり、開発担当の藤井達人さんは「技術革新のスピードに追いつくため、外部の企業と手を組み、銀行だけでは作れないサービスを開発していきたい」と話しています。
こうした取り組みは、「みずほ銀行」がすでに一部で始めているほか、「三井住友銀行」も7月に始める計画で、利用者の保護を図るだけでなく、銀行とIT企業の連携が深まるきっかけにもなりそうです。
「家計簿アプリ」をめぐっては、利用者の保護を図るため、サービスを提供する事業者を登録制にすることを盛り込んだ法律の改正案が、今の国会に提出されています。
具体的には、「家計簿アプリ」のように銀行口座の情報を取得して金融サービスを提供する事業者などに個人情報の管理を徹底させるため、事業者を登録制にするもので、銀行法などを改正します。
事業者が登録する際には、個人情報の流出を防ぐ体制や、会社の財務状況を国に報告することも義務づけています。
政府としては、利用者の保護を強化することによって、IT技術を活用した金融サービス「フィンテック」の開発や普及を後押しする狙いもあります。
-- NHK NEWS WEB