ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍が占拠を続けるザポリージャ原子力発電所について、「ロシア側が爆発物のようなものを設置したという情報がある」と述べ、何らかの破壊工作を行う可能性があると訴えました。これに対し、ロシア側は攻撃を計画しているのはウクライナ側だとして、双方の主張が対立しています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、4日に公開した動画の中で、「ザポリージャ原発の複数の発電施設の屋根に、ロシア側が爆発物のようなものを設置したという情報がある」と述べ、原発に対し、ロシア側が何らかの破壊工作を行う可能性があると訴えました。
そのうえで、6月にウクライナ南部のダムの決壊を阻止できなかったことに触れ、「このことがロシアが新たな悪事を引き起こすことにつながりかねない。ロシアを止めることは世界中のすべての人の責任だ」と強調し、国際社会に対し、原発の安全を確保するよう強く求めています。
ザポリージャ原発をめぐっては、これに先立って、ウクライナ国防省の情報機関が、ロシア国営の原子力企業が従業員に対し、7月5日までに退避するよう通告したとして、ロシア側が原発へのテロを計画していると主張していました。
一方、ロシア国営のタス通信は4日、原発の運転を担うロシア企業の幹部が「7月5日の夜、ウクライナ軍は長距離兵器や無人機を使ってザポリージャ原発を攻撃しようとするだろう」と話したと伝えました。
ロシア側は、攻撃を計画しているのはウクライナ側だとして、双方の主張が対立しています。
ザポリージャ原発について、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は4日、都内で行われた記者会見の中で、「原発は決して攻撃されるべきではないし、軍事基地として使用されるべきではない」と強い懸念を示しました。
-- NHK NEWS WEB