数学の難問「ABC予想」を証明したとする日本の数学者の新たな理論をめぐって、研究を発展させる論文を対象に、100万ドルの賞金を贈呈する賞が国内のIT企業の創業者によって創設されることになりました。
「ABC予想」は、世界の数学者が証明を試みてきた難問で、2年前、京都大学数理解析研究所の望月新一教授が、自身が構築した新たな理論を使って「ABC予想」の証明を行い、専門誌に論文が掲載されました。
しかし、前提となる概念から独自に作り出されているため、望月教授の証明が理解できないとする数学者もおり、研究者の間で混乱する異例の事態となっています。
研究を発展させて事態の解決につなげようと、動画サイトを運営するIT企業の創業者などが、この理論に関する研究成果に賞金を贈呈する賞を創設することになり、7日に都内で会見を開いて発表しました。
具体的には、
▽新たな発展を含む論文を毎年選び、最大で賞金10万ドル
▽理論の本質的な欠陥を示す論文を発表した最初の執筆者に対しては100万ドルを、
それぞれ贈呈するとしています。
今回の賞を創設したIT企業の創業者、川上量生さんは「数学の世界では起きないと思われたことが起きており、歴史的な事件に対して個人的に貢献したい」と話していました。
また、賞の創設に関わった数学者で、東京工業大学名誉教授の加藤文元さんは「望月教授の理論をめぐる数学の世界の正常化を目指し、そのために必要な環境作りに取り組みたい」と話していました。
-- NHK NEWS WEB