軍事転用が可能な精密機器を不正に輸出したとして横浜市の会社の社長などが逮捕・起訴され、初公判の直前になって起訴を取り消されたことをめぐり、警察庁は6日、過去に発行した警察白書から関連する記載を削除しました。
警察庁は「当事者側からの削除の申し出を受けて検討した結果だ」としています。
横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の社長など幹部3人は3年前、生物兵器の製造などに使われるおそれがあるとして輸出が規制されている機器を不正に輸出した疑いで警視庁に逮捕されましたが、起訴後の再捜査で機器が規制の対象にあたらない可能性があることが分かり、初公判の直前になって起訴を取り消されました。
警察庁は、令和3年版の警察白書の中で、会社名などは匿名にしたうえで、不正輸出対策の具体例として概要を記載し、ホームページ上でも公開していましたが、6日関連する記述を削除しました。
また、治安情勢に関する報告書、「治安の回顧と展望」からも記述を削除したということです。
理由について警察庁は、去年8月に会社側から警察白書の記載を削除してほしいという申し出を受けていたとしたうえで「最近の報道の状況をかんがみ、検討した結果、削除する結論に至った」としています。
起訴を取り消された社長たちが「立件ありきの不当な捜査で精神的な苦痛を受けた」として国と東京都に賠償を求めた裁判の中で、捜査を担当した警視庁の警察官の1人が、捜査の進め方について「ねつ造」と表現するなど、当時から疑問があったという認識を示しています。
-- NHK NEWS WEB