NATO=北大西洋条約機構の首脳会議を前に、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは、ウクライナのNATO加盟に向けた議論を強くけん制するとともに武装反乱後の国内の結束を強調する動きを打ち出しています。
反転攻勢を続けるウクライナ陸軍のシルスキー司令官は10日、東部ドネツク州の激戦地バフムトについて「街はウクライナ軍の射程に入っている」とSNSに投稿し、ロシア軍を後退させていると強調しました。
ウクライナではロシア側の攻撃による市民の犠牲も相次いでいて、地元の当局などによりますと南部オデーサへの砲撃と南部ザポリージャ州への空爆でそれぞれ4人が死亡したということです。
こうした中、11日からリトアニアで開かれるNATOの首脳会議には、ウクライナのゼレンスキー大統領も参加する予定で、将来のウクライナの加盟に向けた議論も焦点となります。
クレバ外相は10日に「NATOの同盟国は、ウクライナの加盟に必要な行動計画をなくすことで一致した」とSNSに投稿し、加盟への道が短縮されるとして歓迎しました。
一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は10日、ウクライナのNATO加盟をめぐり「わが国にとって確実に危険、脅威になるだろう。断固とした対応が必要となる」と述べ、加盟に向けた議論を強くけん制しました。
また、ペスコフ報道官は、プーチン大統領が先月29日、モスクワのクレムリンで民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏と会談したと明らかにし、プリゴジン氏らが「大統領の揺るぎない支持者であり、祖国のために戦い続ける用意があると強調した」としています。
ロシア国防省は10日、プリゴジン氏と確執があったロシア軍のゲラシモフ参謀総長が会議に臨む様子だとする動画を公開していて、ロシアとしては武装反乱のあとも国内の体制は揺らがず、結束が保たれていると強調するねらいがあるとみられます。
-- NHK NEWS WEB