大手電機メーカーの東芝は、2度にわたって発表を延期していた、去年4月から12月までの決算を、国が認めた期限の11日に発表しました。決算をチェックする監査法人から、いわばお墨付きを得られない「意見不表明」という報告書を受け取っていて、上場企業としては異例の決算発表となります。
東芝は巨額の損失を出す原因となった、アメリカの原子力事業の会計処理が、経営幹部による不適切な圧力でゆがめられたという指摘があり、この調査に時間がかかるとして、去年12月までの9か月間の決算の発表を2度にわたって延期してきました。
11日は国が延期を認めた期限にあたり、東芝は決算をチェックする「PwCあらた監査法人」と会計処理が適正かどうか、ぎりぎりの調整を進めました。
その結果、監査法人は会計処理の調査の評価などが終わっていないとして、今回の決算について、内容の承認を見送り、「意見不表明」という、いわばお墨付きを与えない報告書を出しました。
一方で、東芝側は不適切な圧力による不正な会計処理はなかったと結論づけるとともに、これ以上決算発表を遅らせることはできないとして、発表に踏み切りました。
ただ、監査法人が意見不表明という報告書を出す中での発表は、上場企業としては異例のことです。
東芝の去年12月まで9か月間の決算は、5325億円の最終赤字となりました。また、昨年度1年間の業績予想は未定だとしながらも、アメリカの原子力子会社、ウェスチングハウスが経営破綻したため、その最終赤字は1兆100億円に膨らむ可能性があるとしています。
また、これに伴って、先月末の時点の株主資本はマイナス6200億円の債務超過になる可能性があるとしています。
これを受けて、東京証券取引所は、東芝から一連の経緯の説明を求めるなどして、東芝の株式の上場を維持するべきかどうか判断していく方針です。
-- NHK NEWS WEB