東芝の綱川智社長は11日夜、記者会見し、監査法人が今回の決算について、「意見不表明」としながら決算を公表したことについて、「このような結果となり、誠に遺憾です」と陳謝しました。
東芝の綱川社長は、午後6時45分から都内の本社で記者会見を開きました。この中で綱川社長は「決算ができない状況が続き、このような事態に至ったことに関しまして、大変なご迷惑、ご心配をおかけしておりますことを心からおわびを申し上げます」と述べました。
そのうえで、今回発表した去年4月から12月までの決算をめぐり、監査法人が「意見不表明」としながら決算を公表したことについて、「今回また延期して調査をしても、会計への影響にプレッシャーがなかったことを証明をすることになる。60万件のメールをチェックしても何も出ないのに、延長しても同じ状況が続くことが考えられる。監査法人とは意見の相違、見解の相違があった」と述べました。
さらに、「今後も監査法人から適正意見をいただけるめどはなく、これ以上株主や関係者にご迷惑ご心配をおかけすることになるので、極めて異例だが、決算を公表することにした。今回の決算は自信がある数字だ。今まで調べてきて、会計に影響するようなものは出てこなかった」と述べて、監査法人が承認を見送った決算の内容に自信を示しました。
また、綱川社長は「上場廃止は避けられるか」という質問に対して、「それは東証が判断することでコメントは控えさせていただく。上場廃止となるのは、市場の秩序を維持することが困難な場合であり、私としては、そういう事態にならないように、最大限の努力をしていきたいと思っている」と述べ、昨年度1年間の決算については、来月中に公表するとしています。
また、東芝が一部の事業で必要とする特定建設業の許可を、ことし12月に更新することができなくなるおそれがあることについて「エネルギーや社会インフラ事業に関係するところが多い。子会社で建設業の契約を持っているところもあるので、分社化も含めて12月までには対処していきたい」と述べました。
また、「メモリ事業については競争が激しく、今後も開発を続けなければならなく、設備投資も必要だ。この負担とわれわれの財務状況も考えて、外部資本を入れる方向で進めたいと」と述べて、今月「東芝メモリ」として分社化した主力の半導体事業を売却する考えを改めて示しました。
また、2011年に買収したスイスの電力計メーカー、ランディス・ギアについて「売却やIPO=新規株式公開を含めて幅広に検討している」と述べ、資金を工面するために売却や新規株式公開を検討する考えを示しました。
また、「当社はすでに東証の特設注意市場銘柄だ。コンプライアンス=法令順守の徹底や、関連会社の管理が指摘されているので真摯(しんし)に改善していきたい」と述べ、株式上場の維持に向けて、最大限努力する姿勢を示しました。
-- NHK NEWS WEB