大手電機メーカーの「東芝」は、2度にわたって発表を延期していた決算を、11日、決算をチェックする監査法人から内容の承認が得られないまま発表するという異例の対応に踏み切りました。東京証券取引所は、現在進めている東芝の株式の上場を維持するかどうかの審査で、今回の東芝の対応が妥当だったのか経緯を詳しく調べる方針です。
「東芝」は、2度にわたって発表を延期していた去年4月から12月までの決算を国が認めた期限にあたる11日発表しました。
ただ、決算をチェックする「PwCあらた監査法人」は、巨額の損失を出す原因となったアメリカの原子力事業の会計処理で、決算に影響する問題がなかったかの評価に時間がかかるとして、決算の内容を承認せず「意見不表明」としました。このため東芝としては、監査法人のいわばお墨付きがないままでの異例の発表となりました。
東京証券取引所は、上場企業が決算で監査法人からの意見を得られなかった場合、特に悪質なケースを除いて「特設注意市場銘柄」に指定し、経営の改善を促すことになっています。
ただ東芝は、おととし明らかになった不正会計の問題ですでに「特設注意市場銘柄」に指定されているため、東証は、株式の上場を維持するかどうか、現在、進めている審査の中で、今回の異例の対応が妥当だったのかどうか、経緯を詳しく調べる方針です。
一方、東芝は、来月に発表を予定している昨年度1年間の決算でも、監査法人の承認を得る見通しが立っていないため、監査法人の変更も含めて対応を検討する方針です。
また、経営の再建に欠かせない財務の改善を急ぐため、今月分社化した半導体事業の売却を進めるとともに、6年前に買収したスイスの電力計メーカー「ランディス・ギア」について、売却や株式の上場などを検討することにしています。
-- NHK NEWS WEB