企業がインターネットの通信販売などで契約者に示す約款について、契約者の利益を一方的に侵害する内容は無効とする規定を新たに設けるなどとした、民法の債権や契約の分野の改正案が、衆議院法務委員会で採決され、自民・公明両党や共産党、日本維新の会の賛成多数で可決されました。
民法の債権や契約に関する分野は、明治29年の制定以来大きな改正が行われていないため、「120年の間の情報化社会の進展や高齢化に対応できず、トラブルも発生している」として、おととし、改正案が国会に提出されました。
改正案は、インターネットの通信販売などで企業が不特定多数の契約者に示す約款について、今の民法には規定がなく、トラブルになるケースもあるとして新たに規定を設け、契約者の利益を一方的に侵害する内容は無効とするなどとしています。
また重度の認知症など判断能力のない人が行った契約などは無効と明記するほか、賃貸住宅の敷金返還のルールを明記し、借り手の故意や過失でできた傷や汚れなどを回復する費用を除いて、敷金は原則として返されるとしています。
さらに消費者が買った商品に欠陥や傷が見つかった場合、売り手に対し損害賠償や契約の取り消し、それに商品の修理や代金の減額を求めることができるようにするとしています。
一方、金融機関などが融資の際に中小企業に求めてきた連帯保証について、保証人が想定外の債務を負って自己破産などに追い込まれる事態を防ぐため、その企業の経営者である場合などを除いて、公証人が直接意思を確認するよう求めています。
12日の衆議院法務委員会では、民進党の提出した修正案が否決されたあと、政府案の採決が行われ、自民・公明両党や共産党、日本維新の会の賛成多数で可決されました。
-- NHK NEWS WEB