経営再建中の東芝が売却を計画している半導体事業について、アメリカのアップルが、少なくとも数千億円に上る大規模な出資を検討していることが明らかになりました。政府が、外国への技術流出を防ぐ観点で売却先を審査する方針を示す中、アップルとしては、日米で株式の過半数を確保し、政府の懸念に配慮した形で買収を目指す考えです。
東芝は、経営の再建をはかるため、本体から独立させた半導体事業の会社「東芝メモリ」の株式を売却する計画で、現在、売却先を決める入札手続きを進めています。
関係者によりますと、アメリカのアップルが少なくとも数千億円を投じて、東芝メモリの株式の数十%程度を取得する方向で検討を進めているということです。アップルとしては、「iPhone」などの製品に多く使っている東芝の半導体を安定して調達する態勢を整える狙いがあるものと見られます。
ただ、東芝の半導体事業の売却をめぐっては、政府が技術の流出などを懸念し、外国企業の投資を制限できる外国為替法に基づいて審査する方針を示しています。
アップルは現在、入札に参加している台湾の大手電子機器メーカー、ホンハイ精密工業とグループを組んで買収を目指すことを検討していますが、東芝本体にも、東芝メモリの株式を保有してもらうことなどで日米が株式の過半数を確保し、政府の懸念に配慮した形を目指す考えです。
一方、ホンハイは、アップルと組むことでホンハイ単独の出資比率を30%程度にとどめ、日本の企業などにも参加を呼びかけ、技術流出の懸念を払拭(ふっしょく)したい考えです。
東芝の半導体事業の買収には、複数の日本企業が共同で出資する構想が持ち上がっているほか、アメリカの半導体大手、ブロードコムやアメリカの投資会社、KKRなども名乗りを上げていて、今回、明らかになったアップルの動きが、東芝の半導体事業の売却先の選定にどのような影響を及ぼすかが注目されます。
-- NHK NEWS WEB