熊本地震では、熊本県益城町が震度7の激しい揺れに2回襲われ多くの木造住宅が倒壊しましたが、揺れを吸収して抑える制震装置を設置していた住宅には被害が少なかったことがわかりました。専門家は、「制震装置は、繰り返しの揺れでも性能が劣化せず、そのメリットが出た」と分析しています。
熊本地震では、熊本県益城町が震度7の激しい揺れに2回襲われるなどして、耐震基準を満たした住宅を含む、多くの木造住宅が倒壊しました。
神戸市のメーカー「住友ゴム工業」は、益城町を含む熊本県内の132棟の住宅に特殊なゴムを使った「制震装置」を設置していて、地震のあと被害を調査しました。その結果、制震装置が設置されたすべての住宅で大きな被害はなく、地震のあとも避難せずに住み続けられる状態だったことがわかりました。この制震装置は、柱と「はり」などの間に金属製のダンパーを入れ、内蔵されたゴムで揺れを抑える仕組みになっていて、ゴムの性能は劣化しないため、繰り返しの激しい揺れにも耐えられるということです。
住友ゴム工業の松本達治さんは「制震装置を設置した住宅が熊本地震でも安全だったことを確認できた。今後も普及を進めたい」と話しています。木造住宅の耐震性に詳しい京都大学の五十田博教授は「制震は、繰り返し揺れに襲われても性能が劣化しないことがメリットで、余震が続いていても安心して住める利点がある」と話しています。
-- NHK NEWS WEB