来年春に卒業する大学生や高校生などを対象にした大手企業の採用計画は、自動車や運輸など多くの業種で、人手不足を背景に採用を増やす企業が多くなっています。
このうち、自動車メーカーは、いずれも中途採用を含めて、トヨタ自動車がリーマンショック以降では最も多かったことしと同じ水準の2600人前後を採用するほか、日産自動車は1420人、ホンダは1410人と、いずれも30%以上増やす計画です。
これは、エコカーや自動運転車など先端技術の開発競争が激しくなる中、研究開発や生産現場を担う人材を確保する狙いがあります。
電機メーカーでは、ことしは採用を見送った経営再建中の東芝が220人の採用を計画しているほか、シャープはことしの2倍を超える360人、日立とパナソニックはいずれもことし並みの800人を予定しています。
ドライバー不足が深刻な運輸業界では、宅配最大手のヤマトホールディングスがことしより26%多い1050人を採用するほか、外食業界では、ファミリーレストラン最大手のすかいらーくが、人手不足の中でも出店を加速するため、ことしより21%多い235人の採用を計画しています。
このように採用を増やす業種が多い一方で、大手銀行は、団塊世代の大量退職が一巡したことや、金利の大幅な低下で経営環境が厳しくなっていることから、採用を減らす方針です。
三菱東京UFJ銀行はことしより12%少ない1050人、三井住友銀行が40%少ない800人程度で、みずほフィナンシャルグループもことしより採用を減らす方向で検討します。
損害保険大手の東京海上日動火災や損害保険ジャパン日本興亜、それに三井住友海上火災は、各社とも働き方改革によって社員の退職が減少していくとして採用を減らす計画です。
就職情報会社によりますと、ここ数年、予定の人数を確保することが難しくなっていることから、企業の採用意欲は強く、学生優位の「売手市場」が続く見通しだということです。
-- NHK NEWS WEB