講師も生徒も裸になる新たな学びの場が東京にできました。会場は銭湯、月に1度だけ授業が開かれます。入学(入浴)試験はなく、授業料は460円、つまり入浴料のみ。地域に根づいた銭湯を学びの場にしようと、お風呂の中で授業を行う、その名も「はだかの学校」です。裸のつきあいから、何を学ぶのでしょうか。(ネット報道部 後藤岳彦記者)
東京都台東区、上野駅から徒歩10分ほどのところにある銭湯「日の出湯」に開校したのが「はだかの学校」です。
銭湯は、昭和40年代には東京都内だけで2600軒余りありましたが、今は600軒余りに減っています。姿を消しつつある銭湯という施設を再び多くの人が集まる場所にしようと、俳優の伊勢谷友介さんや、大手広告代理店、アサツー ディ・ケイなどが協力して始めたプロジェクトが「はだかの学校」です。地域に根付いた銭湯を新たな学びの場として捉え、お風呂の中で授業を行います。まさに裸のつきあいを重視しています。
プロジェクトの中心は、日の出湯のオーナー、田村祐一さん、36歳。「はだかの学校」の校長を務めます。田村さんは、東京・蒲田にある老舗銭湯の跡取りとして生まれ育ちました。大学を卒業後、有限会社「日の出湯」に就職。26歳で取締役に就任し、SNSでの情報発信を打ち出して銭湯の経営改革に力を注いできました。
田村さんが「はだかの学校」を始めたきっかけは、数年前、銭湯に通う94歳の常連客と話したことです。日の出湯がある上野の街の昔の姿や戦時中の話など、今ではなかなか聞くことのできない「ナマの話」が、田村さんの耳に新鮮に響きました。地域ならではの話が聞けて、コミュニティーが生まれる。銭湯のそんな魅力を大切にすれば、全国の銭湯が盛り上がっていくかもしれないと考えました。
-- NHK NEWS WEB