日本郵政はおととし買収したオーストラリアの物流企業の業績が悪化していることから、昨年度の決算でおよそ4000億円の損失を計上すると発表し、平成19年の民営化後初めて最終赤字に転落する見通しとなりました。
発表によりますと日本郵政は、傘下の日本郵便を通じておととし買収したオーストラリアの物流最大手トール・ホールディングスの業績が悪化していることから、昨年度のグループ全体の決算で4003億円の損失を計上するということです。
この損失は当時のトールの買収額、およそ6200億円に対して業績の悪化で目減りした資産価値を反映させるためのものです。
これによって日本郵政はこれまで3200億円としてきた昨年度の最終的な利益の予想を下方修正し、400億円の最終赤字になる見通しを明らかにしました。日本郵政が最終赤字になるのは、10年前、平成19年の民営化後初めてです。
トールの業績悪化を受けて、日本郵政は、今年度中にトールの従業員のおよそ4%に当たる1700人の人員削減を進めることで業績の立て直しを急ぐ方針です。
そのうえで、経営責任を明確化するため、日本郵政の長門正貢社長の役員報酬を6か月間、20%カットするのをはじめ、日本郵政と傘下の日本郵便の全役員の報酬の一部をカットするとしています。
海外事業の買収をめぐっては、経営再建中の東芝が買収した原子力事業会社ウェスチングハウスの経営破綻で1兆円を超える巨額損失を計上する可能性を公表するなど、買収にあたって企業の価値をどう判断するかが問われています。
-- NHK NEWS WEB