政府系金融機関の商工中金は資金繰りが悪化した中小企業を支援する国の特別な融資制度で合わせて800件を超える不正融資などがあったことを明らかにし、安達健祐社長ら幹部が役員の報酬の一部を返納する処分を明らかにしました。
この問題は、商工中金が、災害や円高などで一時的に資金繰りが悪化した中小企業を支援する国の特別な融資制度を活用する際、企業の申請書類を改ざんして、本来融資対象にならない企業にも融資するなどしていたものです。
これについて弁護士で作る第三者委員会は、この融資制度が始まった平成20年度以降、全国の35の支店の職員99人が不正融資やそれに関わる不正合わせて816件を行っていたとする調査結果を発表しました。
なかには支店で不正な融資があったことを把握した本部が問題を隠蔽した事例もあったと指摘しました。第三者委員会の國廣正委員長は「過大なノルマや現場へのプレッシャーが不正の要因となった」と述べました。
これを受けて商工中金は、安達健祐社長ら関係する役員6人が役員報酬の一部を返納するとともに、前の社長らにも役員の報酬の一部に当たる金額の返納を求めることを明らかにしました。
安達社長は記者会見で、「信頼を損なう結果となり深く反省している。リスクの認識が甘く、制度の趣旨に沿った運用が十分に徹底できなかった。再発防止に向けた対策を速やかに行いたい」と述べました。
-- NHK NEWS WEB