経営再建のため半導体事業の売却を進めている「東芝」は、売却先を、アメリカの投資ファンドの「KKR」と日本のファンドや企業などで作る「日米連合」のグループに決めたい考えです。ただ、巨額の損失の穴埋めなどに必要な規模の資金が集められるかは不透明で、売却先の選定に向けた交渉は、これから山場を迎えることになります。
東芝は、経営の再建に必要な資金を得るため、今月、本体から独立させた半導体会社、「東芝メモリ」の株式の売却先を決める入札手続きを進めています。
売却先を決めるにあたっての課題としては、ほかの半導体メーカーにした場合、日本の独占禁止法にあたる各国の競争法上の審査に時間がかかり、早期に売却ができない懸念があるほか、政府は、東芝の半導体の技術が競合するアジアのメーカーなどに流出する事態は避けるべきだとしています。
このため、関係者によりますと、東芝はアメリカの投資ファンドの「KKR」を中心に、日本の官民ファンドの「産業革新機構」、政府系金融機関の「日本政策投資銀行」、それに、複数の日本企業が共同で出資するいわば「日米連合」のグループに売却したい考えだということです。
また、アメリカの「アップル」も設備投資の資金協力などを含めて、東芝を支援する意向を持っていて、今後、交渉に入る見通しです。
ただ、この「日米連合」の枠組みで、東芝が巨額の損失の穴埋めなど経営の再建に必要な2兆円近くの資金を集められるかは、なお不透明な状況です。また、台湾の大手電子機器メーカー「ホンハイ精密工業」なども買収に強い意欲を見せていて、東芝による売却先の選定は、これから山場を迎えることになります。
-- NHK NEWS WEB