過労死や過労自殺への国の対策を検討する厚生労働省の協議会で、政府が導入を目指す、時間外労働の上限規制について、「月100時間などの過労死ラインを認めることになりかねない」と遺族から懸念する声が上がりました。
この協議会は、3年前に施行された過労死防止法に基づき、国の過労死対策などに遺族や専門家の意見を反映させるために設置されたもので、27日は、年間720時間以内、最大でも月100時間未満などとする、時間外労働の上限規制の内容が報告されました。
遺族からは「過労死ラインを認めるような基準で懸念している」とか、「研究開発など過労死の多い職種は適用されず、対策が先延ばしになっている」といった意見が相次ぎました。
「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子さんは「時間外労働の上限を決めても、労働時間の過少申告やサービス残業の問題が起きかねない。実態を適正に把握し、一人一人が働き方を変えていくしかない」と話していました。
-- NHK NEWS WEB