宅配最大手のヤマトホールディングスは、ネット通販の拡大による荷物の増加が深刻な人手不足をもたらし事業環境が厳しくなっているとして、ことし9月末までに、個人が利用する小口の宅配便の料金を税抜きで140円から180円値上げし、27年ぶりに料金体系を見直すことを発表しました。
ヤマトホールディングスは、ネット通販の拡大による荷物の増加でドライバーの長時間労働や人手不足が深刻になっていることに対応するため、28日、宅配サービスの見直しを発表しました。
このうち料金については、消費税率の引き上げを除くと27年ぶりとなる全面的な値上げを決め、個人向けの小口の荷物はことし9月末までに、今の料金より平均15%、1個当たり大きさに応じて税抜きで140円から180円値上げします。
例えば、縦、横、高さの合計が60センチ以内の小さなサイズの荷物を関東の地域内で送る場合の料金は、税込みで現在の756円から907円となり、この場合、20%程度の値上げとなります。
値上げの一方で、会社では、荷物をヤマト運輸の営業所まで取りに来てくれる場合には1個当たり50円割り引きするサービスを新たに始めます。また、メンバー登録した会員に対する割り引きを増やすなどとしていて、会社はこうした新たなサービスを活用すれば、平均で10%程度の値上げになると説明しています。
一方、人手不足を招いた最大の要因になっているネット通販会社など大口の取引先に対して、値上げや、年末など忙しい時期の荷物の引き受けを減らす交渉を進め、今年度に取り扱う荷物の個数は、昨年度の18億6756万個と比べて8000万個程度減らす方針を明らかにしました。
ヤマトホールディングスは、すでに今週初めから当日の再配達を受け付ける時間を短縮するなど、一部のサービスの縮小も始めています。
会社は、ずさんな勤務管理でドライバーなどのサービス残業が続き、190億円にのぼる巨額の未払い金が生じた責任を明確にするため、山内雅喜社長が6か月間、報酬の3分の1を削減するなど、経営トップら6人が報酬の一部を返上することも明らかにしました。
-- NHK NEWS WEB