韓国で、ソウルの日本大使館の前などに設置されている慰安婦問題を象徴する少女像の隣に、市民団体が、戦時中に日本に徴用され過酷な労働を強いられた「徴用工」を象徴する石像を新たに設置する計画を明らかにしました。
韓国では、太平洋戦争中に徴用工として日本の工場などで過酷な労働を強いられたとする元労働者やその遺族が、日本企業に対して損害賠償を求める訴えを韓国各地の裁判所で起こし、日本企業の敗訴が続いています。
28日、元労働者やその遺族でつくる市民団体がソウルで会見を開き、団体の理事長は、「日本に屈しない堂々とした外交を通じて、日本に徴用され血の涙を流した過去の韓国国民の痛みを積極的に解決してほしい」と主張しました。
そのうえで、ソウルの日本大使館の前とプサンの日本総領事館の前に設置された慰安婦問題を象徴する少女像の隣に、徴用工を象徴する石像を新たに設置する計画を明らかにしました。石像は、高さおよそ3メートルで、炭鉱で働いていた徴用工の姿をイメージしてつくられ、ことし8月15日に設置する計画だということです。
日本政府は、1965年の日韓国交正常化と同時に協定を締結し、両国と両国民の間の請求権の問題については、「完全かつ最終的に解決された」とする立場です。
日本政府は石像の設置について、大使館や総領事館を保護する責任を定めた「ウィーン条約」に関わる問題だとして、韓国政府に対して設置させないよう求めていて、韓国側の対応が注目されます。
-- NHK NEWS WEB