韓国で、日本大使館の前などに設置されている慰安婦問題を象徴する少女像の隣に、市民団体が、戦時中に日本に徴用された「徴用工」を象徴する石像を設置する計画について、韓国外務省の報道官は「国際的な儀礼上、望ましくない」と述べました。
太平洋戦争中に「徴用工」として日本の工場などで過酷な労働を強いられたとする韓国人の元労働者やその遺族でつくる市民団体は、ソウルの日本大使館とプサンの日本総領事館の前に設置されている慰安婦問題を象徴する少女像の隣に、徴用工を象徴する石像を新たに設置する計画を先月28日、明らかにしました。
これについて、韓国外務省のチョ・ジュンヒョク(趙俊赫)報道官は2日の記者会見で、「外国公館の保護をめぐる国際的な儀礼や慣行の面から望ましくない」と述べ、石像の設置は適切ではないとする立場を示しました。
石像を設置する計画について日本政府は、大使館や総領事館を保護する責任を定めた「ウィーン条約」に関わる問題だとして、韓国政府に対し、設置させないよう求めています。
日本政府は、元徴用工などの個人を含め請求権に関わる問題は、1965年の日韓国交正常化に伴って両国間で結ばれた協定で、「完全かつ最終的に解決された」とする立場です。
ただ、5年前、韓国の最高裁判所が「個人の請求権は消滅していない」とする初めての判断を示して以降、元労働者やその遺族による日本企業を相手取った裁判が相次ぎ、日本企業の敗訴が続いていて、両国の懸案となっています。
-- NHK NEWS WEB