大手商社の伊藤忠商事は、高齢化などに伴って医療サービスの需要の拡大が見込まれる中国で、病院の運営など医療事業に参入することになりました。
会社によりますと、伊藤忠商事は、中国の政府系企業グループ、中信集団と共同で、医療関連の事業を行う新会社を設立することを、ことし7月にも、中国政府に申請します。
伊藤忠商事は、国内では6年前から、神戸市の市立病院で、医薬品の納入や給食、それにクリーニングといった病院の運営に関わるサービスを一括して提供する事業を行っています。
この事業で培ったノウハウを、中信集団が運営する病院に生かすことで、サービスの向上や経営の効率化につなげたいとしています。さらに血液検査や、人工透析を行うセンターを設けて、周辺にある、ほかの病院の患者も受診できるようにして、地域の医療コストの削減につなげる計画です。
中国では高齢化や、生活習慣病の増加が見込まれ、医療費の増大が懸念されていて、伊藤忠商事としては効率的な医療サービスを提供し、需要を取り込みたい考えです。
岡藤正広社長は「中国政府は西暦2030年に、医療や健康関連の市場を16兆元、日本円にして260兆円まで引き上げるとしている。可能性のあるマーケットでビジネスを行いながら、中国の国民の健康にも力を尽くしたい」と話しています。
大手商社では、三菱商事がことし3月、ミャンマーに現地の企業と共同で総合病院を建設することで合意していて、アジアの医療事業に進出する動きが相次いでいます。
-- NHK NEWS WEB