日本とＡＳＥＡＮ＝東南アジア諸国連合の財務相・中央銀行総裁会議が５日、横浜市で開かれ、国際的な金融危機に備えるため、日本は、緊急時にＡＳＥＡＮ各国に対しドル、もしくは日本の円で最大４兆円規模の資金を供給する新たな枠組みを提案しました。
４年ぶりの開催となった日本とＡＳＥＡＮ１０か国の財務相・中央銀行総裁会議は、麻生副総理兼財務大臣と日銀の黒田総裁が出席しました。
この中で日本は、アジア各国で資金の流出が加速するような緊急の事態が起きた場合、各国にドル、もしくは日本の円ですぐに資金を供給する新たな枠組みを提案し、最大で４兆円規模を用意すると表明しました。
また、緊急時に備え、日本がＡＳＥＡＮの一部の国に、ドルを供給するために設けている２国間の枠組みを拡充し円でも供給できるようにすると提案しました。
財務省幹部によりますと、提案に対し、日本企業が多く進出している国を中心に前向きな反応があったということで、具体的な協議を進めることにしています。
新興国経済をめぐっては今後、アメリカで金利の引き上げが続けば、資金が国外に流出して不安定になるおそれが指摘されています。日本としては、２０年前、世界経済に大きな影響を与えたアジア通貨危機のような事態を防ぐとともに、９年前のリーマンショックで多くの企業が一斉にドルを求めたためドルが調達できなくなってしまった教訓を踏まえ、金融面の協力を強化しておきたいと考えています。
さらに、今回の日本の提案は、中国がアジア各国に通貨・人民元を供給する協定を次々と結んでいることに対抗する思惑もあり、ＡＳＥＡＮ各国での円の存在感を高めたい狙いもあります。
-- NHK NEWS WEB
