人手不足を背景に需要が高まっている人材派遣会社などの間では、企業と人材とのマッチングにAI=人工知能を活用し、人材の紹介の効率化を図る動きが活発になっています。
このうち、メーカーに技術者を派遣している東京・港区の人材派遣会社は、技術者の持つ技術の種類がおよそ4万に上ることから、登録している4700人の技術者と派遣先をマッチングさせる作業に手間と時間がかかっていました。
そこで効率化を図るため、去年からAI=人工知能を導入し、技術者の職歴や自己PRの文章などもデータとして分析し、技術者と派遣先の相性を数値として示すということです。
会社によりますと、従来は派遣先が決まるまで登録している技術者に平均で6社を紹介していましたが、AIの導入後は派遣先が決まった技術者の8割が、1社目で決まるようになったということです。
人材派遣会社「フォーラムエンジニアリング」の竹内政博取締役は「これまでは人間の主観が入ることで、最もふさわしいマッチングができなかった。AIによって細かく分析できるようになり、採用の意思決定が格段に早くなった」と話しています。
一方、転職の仲介を行っている東京・千代田区の大手人材サービス会社は、企業と求職者をマッチングさせる際に去年からAIを導入しています。
この会社にはおよそ4万人の転職希望者が登録されていて、AIが職歴や資格など100項目を超える評価基準に基づき、企業に候補者を提案する仕組みです。会社によりますと、登録しているおよそ7500社全体で採用が決まった人数を去年1年間で見ると、AI導入前のおととしと比べ20%増えたということです。
その一方で、採用にあたってはすべての業務をAIに任せることはしないということで、リクルートキャリアの藤原暢夫さんは「データを基に最適化した組み合わせを提示できることが強みだ」と話しています。
-- NHK NEWS WEB