経営再建中の東芝が進める半導体事業の売却交渉をめぐって、工場の共同運営をしてきたアメリカのメーカー、ウエスタンデジタルのトップがNHKのインタビューに応じ、東芝が検討しているいわゆる日米連合には参加せず、単独で株式の過半数の買収を目指す方針を明らかにしました。そのうえで日本政府が懸念する海外への技術流出は起こさないと強調しました。
ウエスタンデジタルは三重県の四日市工場で17年間、東芝と半導体事業を共同運営してきたアメリカの精密機器メーカーで、今回の売却交渉に対しては、ウエスタンデジタル側の同意が必要だと主張しています。
東芝は現在、アメリカの投資ファンドや、日本の官民ファンドの産業革新機構、それに複数の日本企業が共同で出資する日米連合のグループへの売却を検討しており、ウエスタンデジタルの動向が焦点になっています。
スティーブ・ミリガンCEOは、日本の政府関係者などと協議をするために来日し、9日にNHKのインタビューに応じました。
この中で、ミリガンCEOは「日本側は、われわれに20%未満の出資を求めたいようだが、その出資比率では不十分で、実質的な主導権がほしい。第三者が参加すれば、これまで順調に行ってきた四日市工場の共同運営が難しくなってしまう」と述べ、日米連合には参加せず、単独で株式の過半数の買収を目指す方針を明らかにしました。
そのうえで、東芝や日本政府が懸念している日本の独占禁止法に当たる各国の競争法の審査の長期化や、中国など海外への技術流出については、「競争法の問題は最小限にリスクを抑え、東芝が想定している期間内に手続きを終えることは可能だ。技術は日本に残し、いわば不適切な人たちの手に渡ることはない」と述べ、中国や韓国など海外への技術流出は起こさず、日本側の懸念は払拭(ふっしょく)できると強調しました。
-- NHK NEWS WEB