日本の大手電機メーカー各社は、来月のボーナス商戦で有機ELと呼ばれる最新型のテレビを国内で相次いで発売します。かつて世界を席けんしたものの、海外メーカーとの競争で事業の縮小や撤退が続いた日本メーカーが新たなテレビ戦略を進めます。
有機ELテレビは、電圧をかけるとみずから光を放つ特徴がある有機化合物の発光材料を使ったテレビで、液晶テレビに欠かせないバックライトが必要ないことから、より軽く、薄型で、色の濃淡をくっきりと表示できるのが特徴です。
パナソニックが10日、発表した新製品は自社で手がける高級オーディオブランドの開発陣と設計したスピーカーを搭載し、音響にもこだわったということです。
パナソニックの筒井俊治事業部長は「有機ELはプレミアムの層、液晶はボリュームゾーンと使い分けて、国内シェアトップを目指す」と話していました。
ソニーの新製品は、画面の外枠をおよそ1センチまで薄くし、映像だけが浮かび上がるような感覚を目指したほか、テレビを支えるスタンドを背面に隠すなどしてデザインを重視したといいます。
ソニーの高木一郎執行役は、「画面の中にそのまま引き込まれるような、『没入感』という新しい価値体験を狙った」と話していました。
ことし3月に発売した東芝は、映像エンジンと呼ばれるソフトウェアを組み込んだ半導体製品の開発を自社で手がけ、人の肌などを自然な色彩で表現する映像にこだわったとしています。
東芝映像ソリューションの高根隆一部長は、「有機ELの実力をいかんなく発揮する映像エンジンの技術が最大の強みだ」と話していました。
日本の大手電機メーカー各社は、およそ10年前までは、薄型テレビの分野で世界を席けんしましたが、海外メーカーとの激しい価格競争の結果、相次いで事業の縮小や撤退を行いました。
「有機ELテレビ元年」とも言われることし、各社が来月のボーナス商戦で販売する製品は、およそ50万円から90万円の高価格帯に特化し、今のハイビジョンより画質が鮮明な4Kに対応するなどして数量よりも製品の質を重視し、利益の確保を狙う戦略に大きく転換しています。
-- NHK NEWS WEB