北朝鮮が世界30か国以上の銀行を狙ってサイバー攻撃を仕掛け、多額の現金を盗んだ可能性が高いことがわかり、北朝鮮の核・ミサイル開発の新たな資金源になりかねないという懸念が出始めています。
これは、アメリカやロシアの情報セキュリティー会社の調査でわかったものです。
アメリカ大手、シマンテックはNHKの取材に対し、おととしから、ことしにかけて、北朝鮮のハッカー集団がバングラデシュやベトナムなど世界30か国以上の銀行や金融機関などを狙って、サイバー攻撃を仕掛け、多額の現金を盗んだ可能性が高いことを明らかにしました。
それによりますと、バングラデシュ中央銀行のケースでは、マルウエア=有害なソフトウエアが仕込まれたメールが職員に送られ、感染した銀行内のコンピューターシステムを通じて、偽の送金依頼が行われた結果、8100万ドル(日本円で90億円以上)がフィリピンに送金され、犯行グループがその一部を手にしたと見られています。
このマルウエアをシマンテックが分析したところ、使用されたコードが、2014年にソニー・ピクチャーズエンタテインメントに対するサイバー攻撃で使用されたマルウエアのコードと一致したということです。2014年の事件については、アメリカのFBI=連邦捜査局が北朝鮮による犯行と断定しています。
このコードを使用したマルウエアはベトナムの銀行に対するサイバー攻撃にも投入され、100万ドル(1億円以上)の被害が出たということです。
ホワイトハウスでサイバーテロ対策担当だったフランク・シルフォ氏は、NHKの取材に対し、「北朝鮮は新たな資金獲得の最も有力な手段として、サイバー犯罪を考えている」と述べていて、サイバー攻撃が北朝鮮の核・ミサイル開発の新たな資金源になりかねないという懸念が出始めています。
-- NHK NEWS WEB