経営再建中の東芝は、今月中旬に予定していたことし3月期の決算発表を15日、見送るとともに、決算の内容への監査法人の承認がないまま、業績の見通しとして公表し、最終損益が9500億円の赤字になるという見込みを明らかにしました。決算を発表できない異例の事態が続いています。
東芝は、去年4月から12月までの決算発表をこれまで2度にわたって延期したうえで、先月、決算をチェックする監査法人のいわばお墨付きのない「意見不表明」のままで公表に踏み切りました。
ことし3月までの1年間の決算について東芝はこれまで今月中旬に発表するとしていましたが、15日、発表を見送るとともに、決算の内容への監査法人の承認がないまま業績の見通しとして公表しました。
それによりますと、アメリカの原子力子会社のウェスチングハウスの経営破綻によりこれまで1兆100億円の赤字になる可能性があるとしていた最終損益は、見直した結果、9500億円の赤字になるという見込みを明らかにしました。
また、これに伴って、ことし3月末の時点で株主資本がマイナス5400億円の債務超過になる見通しだとしています。
東芝は、半導体事業を売却することで経営再建に必要な資金を確保して、債務超過を解消したいとしていますが、来年3月末までに実現しなければ東京証券取引所の上場廃止の基準となる2期連続の債務超過となるおそれがあります。
東芝は「決算の作業を進めており、現時点で監査法人による監査手続きは継続しているため投資家をはじめとする関係者の皆様に現時点の業績見通しを示すことが重要だと判断した」とコメントし、綱川智社長が午後2時から都内の本社で記者会見して、説明することにしています。
企業の決算をめぐっては、東証が「期末から45日以内の公表」を求めていますが、その期限となる15日までに間に合わない異例の事態が続いています。
-- NHK NEWS WEB