経営再建中の東芝が進める半導体事業の売却交渉をめぐり、三重県の工場を共同運営してきたアメリカのメーカー、ウエスタンデジタルとの間で対立が深まる中、東芝は計画どおり手続きを進める方針ですが、売却交渉はさらに難航することも予想されます。
東芝は、経営の再建に必要な資金を得るため、先月、半導体事業を新会社の東芝メモリに移し、株式の売却に向けた交渉を進めています。
これに対して、三重県四日市市にある主力工場を共同運営してきたアメリカのウエスタンデジタルは、同意なしに第三者に売却することの差し止めを求めて、14日、国際仲裁裁判所に仲裁の申し立てを行い、両社の対立が深まっています。
東芝と日本政府は、これまで、アメリカの投資ファンドのKKRや、日本の官民ファンドの産業革新機構のほか、複数の日本企業が共同で出資する「日米連合」のグループに売却することを検討し、ウエスタンデジタルに対しても参加を求めていました。
これについて、東芝の綱川智社長は15日の記者会見で、「入札の候補者の皆様に東芝の主張の正当性を説明して懸念を払拭(ふっしょく)していく」と述べて、今月19日に予定している2回目の入札を計画どおりに行う方針を明らかにしました。
しかし、東芝とウエスタンデジタルが対立しているうえ、関係者によりますと、産業革新機構は、議論に結論が出ず、今回の入札を見送る可能性もあるということです。
このため、半導体事業の売却交渉で、東芝が経営再建に必要な2兆円規模の資金が集まるかどうかは不透明で、交渉がさらに難航することも予想されます。
-- NHK NEWS WEB