顧客から預かった資金を株式で運用している生命保険会社や信託銀行などの間では、投資先の企業の株主総会で、どのように議決権を行使したか、議案ごとに賛否を明らかにして、運用の透明性を高めようという動きが広がりはじめています。
生命保険会社や信託銀行などの機関投資家に対して、金融庁は、企業の経営を大株主としてチェックする責任を果たすとともに、運用の透明性を高めるため、株主総会で議決権をどのように行使したか、議案ごとに賛否を明らかにするよう求めています。
これを受けて、大手資産運用会社の「野村アセットマネジメント」はことし1月から3月までに開かれた投資先の企業281社の株主総会で、取締役を選ぶ議案や役員の報酬額を変える議案など合わせて2635件について賛成したか、反対したかをホームページで開示する取り組みを始めました。
また、「三菱UFJ信託銀行」は、およそ2000社に上る投資先の企業の株主総会について、議案ごとの賛否を開示するほか、「第一生命」や「住友生命」も賛否を開示していく方針です。
企業に関わる法制度が専門の東京大学大学院の神作裕之教授は「情報の開示が進めば、機関投資家は外部からの評価にさらされ、国民のためを考えて議決権を行使することになる。そのことが投資家の信頼を高めるという好循環が期待される」と話しています。
-- NHK NEWS WEB