「笑い」には免疫力を高めるなどの効果があるとされますが、がんで治療中の患者に漫才や落語などを見せて、よい影響があるかを科学的に検証する研究が大阪で始まり、落語家の桂文枝さんらが患者らを前に演目を披露しました。
この研究は大阪府立病院機構の「大阪国際がんセンター」と芸能事務所の吉本興業、松竹芸能、それに米朝事務所が始めました。がんで治療中の患者を2つのグループに分けて、ことし8月までに隔週で8回行われるお笑いの舞台のうち、すべてを見るグループと、半分だけ見るグループで体の免疫の機能などに違いが出るかを調べます。
初日の18日は通院中の患者40人が参加し、がんセンターのホールで、桂文枝さんと弟子2人の合わせて3人が落語を披露しました。文枝さんは居酒屋の客が、歯の治療をうけた際の体験や妻とのやり取りをユーモラスにぼやく創作落語を披露し、参加した患者らは声を上げて笑いながら楽しんでいました。
がんセンターによりますと、舞台には、プロの落語家や漫才師が参加するということで、結果は科学論文にまとめて発表するということです。通院患者で大阪市に住む62歳の会社員の男性は「落語は初めてでしたが、本当におもしろく、笑うことで心が無の状態になりました。笑いは治療にきくと思います」と話していました。
桂文枝さんは、「笑うことで少しでも病気のことを忘れ、安らぐひとときを持てればと思い、落語を披露しました。この研究がうまくいけばいい」と話していました。
-- NHK NEWS WEB