アメリカのトランプ次期大統領は30日、新政権の商務長官に知日派として知られる投資家のロス氏を、財務長官に大手金融機関の元幹部のムニューチン氏を、それぞれ起用すると発表しました。
このうち新政権の貿易政策などを担う商務長官に起用されるウィルバー・ロス氏は、倒産企業の再建で実績を重ねた「再建王」として知られ、1999年には経営破綻した当時の大阪の幸福銀行を買収した経験があり、日米交流団体のひとつ、ジャパン・ソサエティーの会長も務める知日派です。ロス氏は当初、TPP=環太平洋パートナーシップ協定に賛成の立場でしたが、トランプ氏の経済アドバイザーに就任したあとは、「アメリカの製造業にとって最悪の協定」だとして反対に転じていて、商務長官に就任したあとの対応が注目されます。
また、財務長官に起用されるスティーブン・ムニューチン氏は、大手金融機関、ゴールドマン・サックスの元幹部で、選挙戦では、トランプ氏の陣営の財務責任者をつとめました。トランプ氏は選挙戦で、法人税の税率を35%から15%に大幅に引き下げることや、巨額のインフラ投資を訴えてきたことから、新政権では財政赤字が拡大するのではないかと懸念する声もあります。ムニューチン氏が経済運営の要となる財務長官に就任したあと、財政規律を維持しながら、トランプ氏が掲げる経済政策をどう実現していくか、注目されます。
-- NHK NEWS WEB