過労のため自殺した電通の新入社員だった女性の母校の東京大学で、21日、女性の母親が講演し、「誰もが健康に働いて幸せになれる社会を実現してほしい」と訴えました。
東京・文京区にある東京大学では、21日、働き方をテーマにしたシンポジウムが開かれ、電通の新入社員でおととし、過労のため自殺した高橋まつりさんの母親の幸美さんが講演しました。
幸美さんは「娘が亡くなるまでは過労自殺はひと事だと思っていました。責任感や精神力が強い人ほど追い詰められると思うので正常な判断ができるうちに休んでほしい。命がなくなってはやり直しはできません」と話しました。
そして、「古い会社組織の体質を変えなければならない。命の犠牲の上での経済発展も会社の成長もあってはいけないし死んで社会を動かすことを誰も望んでいません。誰もが健康に働いて幸せになれる社会を実現してほしい」と訴えました。
このあとのパネルディスカッションでは、出席者から「働き方を重視している会社を選ぶなど学生が就職活動の際に賢い選択をしてほしい」といった意見が出されました。
シンポジウムは、まつりさんの後輩たちに働き方の問題を考えてもらおうと東京大学新聞が主催したもので、参加した学生らは熱心に話を聞いていました。
-- NHK NEWS WEB