OPEC=石油輸出国機構が、原油価格の上昇を図るため、8年ぶりとなる減産に踏み切ることで最終合意したと発表したことから、今後、原油価格が上昇すれば、日本でもガソリンや灯油などが値上がりし個人消費や企業活動に影響が及ぶ可能性もあります。
国内では、レギュラーガソリンの平均の小売価格は、ことし3月には1リットルあたり112円と7年ぶりの低い水準まで下がりました。しかしその後は、OPECの減産合意を見越した原油価格の上昇に伴ってガソリンも値上がりし、今週は、1リットルあたり125円台をつけています。
石油元売り各社でつくる石油連盟の木村康会長は先週の記者会見で、OPECが減産で合意すれば、1バレル=40ドル台後半で推移している原油先物価格が55ドル近くまで上昇するという見方を示しています。
今後、実際に原油価格が上昇して、ガソリンや灯油がさらに値上がりすれば、家計にとっては負担になり、個人消費が冷え込むおそれも指摘されています。また、プラスチックなどの原材料や燃料が値上がりすれば、コストの増加を価格などに転嫁しにくい中小企業のほか、漁業者や農家への影響も懸念されます。
一方で、原油価格の上昇が緩やかなペースで進めば、日本の消費者物価の緩やかな上昇につながり、デフレからの脱却を後押しする効果も考えられます。このため、OPECの減産合意が日本経済にとってプラスとマイナス、どちらの影響が大きく出るかは、今後の原油価格などの動向に左右されることになります。
-- NHK NEWS WEB