アメリカのトランプ次期大統領は30日、新政権の商務長官に知日派として知られる投資家のロス氏を、財務長官に大手金融機関の元幹部のムニューチン氏を、それぞれ起用すると発表し、経済閣僚の陣容を固めました。
このうち新政権の貿易政策などを担う商務長官への起用が決まったウィルバー・ロス氏は、倒産企業の建て直しで実績を重ねた「再建王」として知られ、日米交流団体のひとつ、ジャパン・ソサエティーの会長も務める知日派です。ロス氏は30日、アメリカのCNBCテレビで、当初、賛成の立場を示していたTPP=環太平洋パートナーシップ協定について「ひどい協定だ」と述べ、反対する姿勢を鮮明にしました。
また、経済運営の要となる財務長官への起用が決まったスティーブン・ムニューチン氏は大手金融機関、ゴールドマン・サックスの元幹部で、選挙戦ではトランプ次期大統領の陣営の財務責任者をつとめました。ムニューチン氏は30日、記者団に対して、「アメリカの企業が世界一の競争力を持つよう法人税を引き下げ、レーガン政権以来、もっとも意義のある、中所得者層の所得税の減税を行う」と述べまず税制改革に力を入れる考えを示しました。
一方、トランプ氏は、30日、ツイッターに「国政に専念するため事業から完全に離れる」と書き込み、今月15日にニューヨークで記者会見を開き、大統領の職務と利益相反のおそれが指摘されていたみずからの事業への関わりについて説明する考えを明らかにしました。
-- NHK NEWS WEB