インドでは先月、高額紙幣が突然、廃止され、流通する新たな紙幣が不足し、消費が大きく落ち込むなど、経済への影響が広がっています。
インド政府は先月、偽札や脱税の対策などとして、日本円にしておよそ1600円の最高額の1000ルピー札と、2番目に高額の500ルピー札の2種類の紙幣を翌日から廃止すると、突然、発表し、新たに発行する紙幣と銀行で交換するよう求めました。
廃止された2種類の紙幣は、流通している紙幣の80%以上を占めており、新札の発行が追いつかず、紙幣が不足した状態が続いています。このため、ひと月近くたった今も、銀行には新札を手に入れようとする人たちが押し寄せ、毎日、長い列ができるなど混乱が続いています。
また、現金決済が一般的なインドでは、現金の不足から買い物を控える人たちが増え、消費が大きく落ち込んでいるほか、賃金の支払いが滞る企業が相次ぐなど、経済への影響も広がっています。
インドは毎年7%を超える高い経済成長を続けていますが、今回の混乱を受けて、今年度の成長率が昨年度より1%程度下がると予測する専門家も出てきており、景気減速を懸念する声が高まっています。
-- NHK NEWS WEB