アメリカのトランプ大統領が、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの脱退を決めたと発表したのに対し、ヨーロッパをはじめ世界各国から批判が出ているほか、アメリカ国内の企業の間でも反発する声が出ています。
トランプ大統領は1日、ホワイトハウスで、「私は国民との約束を守る」と述べて、パリ協定からの脱退を決めたと発表し、アメリカの労働者や企業に公平な内容になるなら、再び交渉を行う姿勢を示しました。
これに対して、ドイツとフランス、イタリアの3か国の首脳が共同で声明を発表し、「パリ協定は、私たちの地球や社会、それに経済にとって欠かせない」として、今回の決定を批判したうえで、再交渉には応じられない姿勢を強調しました。
一方、アメリカ国内では、与党・共和党の上院トップ、マコネル院内総務が「石炭を産出する地域の労働者を雇用の喪失から守るとの約束を果たすことを示した」と支持する声明を出しましたが、企業の間では、パリ協定こそが「革新的な環境関連技術の市場が拡大することによって雇用と経済成長を生み出す」などとして反発する声が出ています。
トランプ大統領としては、雇用の創出を最優先にする公約を守ることで、みずからの支持層をつなぎ止めたい狙いがありますが、国内外の批判に加えて、トランプ陣営とロシアの関係をめぐる疑惑への追及も強まっていて、今回の決定が政権運営の安定につながるか不透明な状況です。
-- NHK NEWS WEB