アメリカのトランプ大統領がパリ協定から脱退する方針を示したことを受けて、投資の専門家は、トランプ政権が石炭などの化石燃料の関連企業にどのような対応をとるのか投資家が静観している状況だと指摘しています。
環境を重視した企業への投資の普及を行っている日本サステナブル投資フォーラムの荒井勝会長は「石炭産業への支援やほかの産業への影響をどうするのかなどまったくわからないので、投資家への影響はまだ見えないところが多い」と話しています。
一方で、フォーラムの調査によりますと、欧米の機関投資家を中心に、環境などに配慮した企業に投資する「ESG投資」が急速に広がっていて、去年の世界全体の投資総額は東京証券取引所で取り引きされるすべての企業の時価総額の5倍近いおよそ2755兆円に上っています。
こうした投資の4割近くがアメリカの投資家によるもので、石炭産業の成長性は薄いとして投資を引きあげる動きも出ていて、アメリカでも企業の温暖化対策への対応が無視できない評価要素となっています。
このため、荒井会長は「こうした投資は完全に世界の主流になっており、逆戻りすることは想定しえない」と述べ、アメリカが脱退しても環境を重視する世界の投資の流れは変わらないという見方を示しました。
-- NHK NEWS WEB