経営再建中の東芝は、半導体事業の売却をめぐって対立しているアメリカのウエスタンデジタルが国際仲裁裁判所への申し立てを行ったことに対し、両社の合弁会社の株式の一部を3日、本体に移管して、申し立ての根拠を無くす対抗措置を取ると発表しました。
東芝は経営の再建に必要な資金を得るため、半導体事業を分社化した「東芝メモリ」の売却交渉を進めていますが、工場を共同運営してきたアメリカのウエスタンデジタルが、同意なしに第三者に売却することの差し止めを求めて、先月、国際仲裁裁判所に申し立てを行い対立が続いています。
申し立てにあたってウエスタンデジタルは、両社の合弁会社の株式のうち、東芝が同意なしに東芝メモリに持ち分の所有者を変更したのは契約に違反するとしていました。
これに対して、東芝は先月31日に、合弁会社の株式のうち東芝メモリに移った持ち分を東芝本体に戻す対抗措置を行うと通達し、実際に株式の移管を3日に行うと発表しました。
東芝側はウエスタンデジタルの申し立ては売却交渉の妨害行為だとしたうえで、今回の対抗措置によって申し立ての根拠が無くなるとしています。
東芝は、今月28日に開く予定の株主総会までに「東芝メモリ」の売却先との正式な契約を済ませることを目指して交渉を急ぐ方針です。
一方、ウエスタンデジタルは今回の対抗措置について、「仲裁の申し立てを取り下げることはなく、東芝が権利を侵害しようとすれば阻止する」と反論していて、対立が解消に向かうかどうかは依然、不透明な状況となっています。
-- NHK NEWS WEB