年金支給額の新たな改定ルールを盛り込んだ年金制度改革関連法案は、2日から参議院で審議入りしました。安倍総理大臣は、法案は世代間の公平を図り、年金制度を持続可能とするためのものだと強調したうえで、低所得や低年金の高齢者に対する年金の保障機能の強化に取り組んでいく考えを示しました。
年金制度改革関連法案は、先月29日の衆議院本会議で、民進党などが退席する中、自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決されたことを受けて、2日の参議院本会議で、安倍総理大臣も出席して趣旨説明と質疑が行われました。
この中で、民進党の川合孝典政務調査会副会長は「安倍総理大臣は『現在の年金受給者の年金額をカットすることで、将来受け取る年金額が増える』などと説明しているが、耳を疑う。今回の法案は、公的年金制度のセーフティーネット機能を低下させ、生活保護世帯の増加に拍車をかけかねない内容だ」と批判しました。
これに対し、安倍総理大臣は「法案は世代間の公平を図り、制度を持続可能とするためのものだ。『将来世代の受け取る年金が増えている』ということは申し上げておらず、誤解を与える説明という指摘はあたらない。また、低年金、低所得の方々には、年最大6万円の年金生活者支援給付金により配慮することなどに取り組む」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は「低所得や低年金の高齢者への対策は、将来に向けて、年金の保障機能を一層強化し、老後の所得保障を厚くするため、高齢者の就労機会の確保、厚生年金のさらなる適用拡大、個人型確定拠出年金への加入促進等にも取り組む。さまざまな政策により、できるかぎり高齢者が生活保護を受給せずに、生活できるよう支援していく」と述べました。
-- NHK NEWS WEB