経営再建中の東芝が進める半導体子会社の売却をめぐって対立してきたアメリカのウエスタンデジタルは、子会社が売却された時点では株式を取得せず、資金を出すだけにとどめる新たな譲歩案を検討していることがわかりました。ただ、東芝は別の企業とも売却交渉を進めていて、譲歩案が受け入れられるかを含めて事態は流動的です。
東芝は、半導体子会社の売却先を今月中に決めたい考えですが、半導体事業で提携しているウエスタンデジタルは、みずからが同意しない相手への売却は認めないと主張し、対立が続いています。
両社が9日に行ったトップ会談で、ウエスタンデジタルは、子会社の株式の過半数を取得するという従来の主張を取り下げ、出資比率を引き下げる譲歩案を示しましたが、東芝から前向きな回答を得るには至っていません。このため、関係者によりますと、ウエスタンデジタルは、子会社が売却された時点では株式を取得せず、子会社が発行する社債を引き受けて資金を出すことにとどめる新たな譲歩案の検討に入りました。
子会社の売却先として、政府は、アメリカの投資ファンドを中心に日本の官民ファンドや民間企業などが加わった“日米連合”の構想を進めていますが、十分な資金が集まるめどがたっていません。そこで、ウエスタンデジタルとしては、子会社の経営の主導権を最初から握らずに資金を出すことで、“日米連合”を後押しする姿勢をアピールする狙いがあるものと見られます。さらに、今後10年間で、設備投資におよそ2兆7000億円、研究開発投資におよそ4兆2000億円を出す提案も検討しています。
ただ、“日米連合”の構想を主導する政府の意向などもあり、新たな譲歩案が受け入れられるかは不透明です。東芝は、アメリカの半導体メーカー、「ブロードコム」とも本格的な売却交渉に入っており、事態はなお流動的です。
-- NHK NEWS WEB