カジノを含むIR・統合型リゾート施設の整備を推進する法案は、衆議院内閣委員会で、民進党が抗議する中、採決が行われ、自民党と日本維新の会などの賛成多数で可決されました。法案をめぐっては、経済の活性化などにつながるという意見がある一方、「ギャンブル依存症の人が増える」といった懸念の声も上がっています。
大阪では、府や市、経済界が、IR・統合型リゾート施設の誘致は地域経済の活性化につながるとして、大阪・此花区の人工島、夢洲への誘致を目指しています。
大阪府の松井知事は、ことし10月、超党派の国会議員連盟の会合に出席し、大阪への誘致と関連法案の早期成立を求めました。
また、大阪市の吉村市長はことし9月、IRで経済効果を挙げているシンガポールを訪れ、IRとともに、ギャンブル依存症になった人の治療を行っている国の機関を視察しました。
松井知事は記者団に対し「参議院でも可決してほしい。IRができてギャンブル依存症が増えたという話はない。今回は可決されたのは基本法であり、次に実施法を審議する段階で、民進党や共産党が心配しているような依存症対策はきちんと議論すればよい。ギャンブル依存症のようなマイナス面への対応もとった、世界ですばらしいと思われるIRを作りたい」と述べました。
一方、関西経済同友会は、IRのイメージビデオを作成しています。
また、大阪に誘致した場合の経済効果を試算していて、IRの開業前までにインフラ整備などを行う経済効果として1兆4700億円余り、IRの開業後は来場者が飲食費や宿泊代を支払うことなどに伴う経済効果として年間7600億円近くが見込めるとしています。
そして、こうした事業によって、およそ9万8000人の雇用が新たに生まれるとしています。
関経連=関西経済連合会は、「IR推進法案の成立に向けて、一歩手続きが進んだが、関経連としては本臨時国会で成立させていただきたいと考えており、引き続き、迅速かつ丁寧な審議をお願いしたい」としています。
IRをめぐって関経連はこれまでにも、万博の誘致を契機にして、夢洲を含むベイエリアの開発計画が具体化されるとして、IRはベイエリア活性化のためにも有力なツールの1つとなりえるという考えを示しています。
大阪府には、平成24年からこれまでに国内外の延べ20社から、大阪でのIR事業に関心があるなどとして、相談が寄せられているということです。
企業の多くは、海外でカジノを運営した実績がある会社や、国内でテーマパークなどの運営を行ってきた会社などだということです。
-- NHK NEWS WEB