アメリカのトランプ大統領は、オバマ前政権が進めたキューバとの関係改善を「国民を苦しめてきたカストロ政権を裕福にしただけだ」と批判し、対キューバ政策を見直すと表明しました。見直しは規制の強化にとどまり、両国の国交は維持されますが、関係改善に水を差す動きに困惑する声も出ています。
アメリカは、社会主義のカストロ政権が率いるキューバと1961年に国交を断絶し、厳しい経済制裁を科してきましたが、オバマ前政権は関係改善にかじを切り、おととし、国交を回復して制裁を緩和しました。
しかし、16日、亡命キューバ人が多く住む南部フロリダ州マイアミで演説したトランプ大統領は「国民を苦しめてきたカストロ政権を見逃すわけにはいかない」と述べ、カストロ政権は民主的な選挙や政治犯の釈放を実現すべきだと訴えました。
そして、「規制の緩和はキューバ国民ではなく、カストロ政権を裕福にしただけだ」と批判したうえで、「オバマ前政権による一方的なキューバとの合意を取り消す」と述べ、対キューバ政策を見直すと表明しました。
具体的には、キューバ軍への資金流入を阻止し、カストロ政権に改革を促すとして、キューバ軍と関係がある企業との商取り引きや、アメリカ人のキューバ渡航を制限するなどとしています。
一方、両国の国交は維持され、見直しは規制の強化にとどまりますが、キューバ共産党の機関紙「グランマ」は、「冷戦の時代に戻ったようだ」と論評したほか、全米商工会議所は「キューバの変化の可能性を狭めることになる」とした声明を出すなど、関係改善に水を差す動きに困惑する声も出ています。
トランプ大統領は、去年の大統領選挙でキューバ政策の見直しを公約の1つに掲げていたことから、今回の動きは支持者にアピールする狙いもあると見られます。
-- NHK NEWS WEB