アメリカのライトハイザー通商代表は議会下院の公聴会で、大手自動車メーカーのフォードが小型車の生産を中国に移管することを批判しましたが、国際的な競争にさらされる企業に対して、トランプ大統領の思惑どおりにアメリカ国内に雇用を維持させることの難しさが浮き彫りになっています。
フォードはアメリカ国内の雇用創出を訴えるトランプ大統領の意向を踏まえ、ことし1月、メキシコに新工場を建設する計画を撤回しましたが、20日、小型車の生産を中西部ミシガン州から中国に移管すると発表しました。
これについて、ライトハイザー通商代表は22日、議会下院の歳入委員会の公聴会で「とてもやっかいな事だと思う」と述べ、フォードの対応を批判しました。
トランプ大統領は企業が工場を外国に移転させる動きを批判するなど、国内での雇用の確保を最優先の政策課題に位置づけてきましたが、アメリカの自動車メーカー最大手、GM=ゼネラル・モーターズも今月、1000人の人員削減を発表するなど、経営の効率化を図る動きが相次いでいます。
ライトハイザー通商代表の今回の発言は、こうした動きの広がりをけん制した形ですが、国際的な競争にさらされる企業に対して、トランプ大統領の思惑どおりにアメリカ国内に雇用を維持させることの難しさが浮き彫りになっています。
-- NHK NEWS WEB