東芝の綱川智社長は23日夕方、東京都内の本社で記者会見し、有価証券報告書の提出期限を延長したことを陳謝したうえで、監査法人と協調して新たな期限である8月10日までに提出できるよう努める考えを示しました。
この中で綱川社長は、有価証券報告書の提出期限を8月10日に延長したことについて「今月末に提出するよう全力で努力してきたが延長せざるをえない状況になった。株主や投資家をはじめとする関係者の皆さまにご心配をかけることを深くおわびします」と陳謝しました。
そのうえで「取り巻く環境にはさまざまな変数があるが、それに対処し一歩一歩前に進むことが私の責任だ。監査法人と協調して最善を尽くす」と述べました。
また東京証券取引所が8月1日付けで東芝の株式を東証1部から2部に降格することを決めたことについて、綱川社長は「信用力が低下しないように、人材や技術力を確保し上場企業として事業を継続したい」と述べました。
一方、半導体子会社の売却を優先的に交渉する相手として、アメリカの半導体メーカー、ブロードコムよりも、買収の提示額が少ない“日米韓連合”を選んだことについては「雇用や工場の維持、技術流出の問題など総合的な要素で東芝が主体的に決めた」と説明しました。
“日米韓連合”に売却されたあとの会社について綱川社長は「東芝の幹部が引き続き執行を行っていくので、安定した経営ができる」と自信を示しました。
また“日米韓連合”には韓国の半導体メーカーのSKハイニックスが、株式は取得せずに資金を貸し出す形で参加する計画であることを踏まえて「SKハイニックスは半導体子会社の議決権を持たないので経営に関与できず、技術流出は心配がない。競争法の審査も通りやすいと考えている」と述べました。
半導体子会社の売却を実現するために対立の解消が課題となっているアメリカのウエスタンデジタルについては「よいパートナーだったので引き続き話し合いを進めている。係争状況になったことは非常に残念で、韓国の半導体メーカー、サムスンと戦ううえで大事な時期に来ているので一緒に投資をして戦いたい」と述べました。
-- NHK NEWS WEB