政府は安倍総理大臣が新たな政策の柱に掲げた「人づくり革命」について、ことし夏に新設する有識者会議で検討を進め、来年の春から夏にかけて最終的な構想を示したい考えです。安倍総理大臣としては構想で教育の無償化に向けた具体的な施策を示すことで、憲法改正に向けた機運を高める狙いもあるものと見られます。
安倍総理大臣は通常国会の閉会に伴う記者会見で、「日本を『誰にでもチャンスがあふれる国』へと変えていく」と述べ、働き方改革に次ぐ政策の柱として「人づくり革命」を掲げ、担当大臣の設置を検討する考えを示しました。
政府はことし夏に有識者らによる「みんなにチャンス!構想会議」を新たに設けることにしていて、構想会議では幼児教育や高等教育の無償化、就職したあとなどに大学で再び教育を受けるリカレント教育の充実、それに新卒一括採用の見直しや、定年後の継続雇用の延長などが検討される見通しです。
このうち教育無償化に必要となる巨額な財源については財政の効率化や増税に加え、自民党内で議論されている年金保険料に上乗せして徴収する「こども保険」や、在学中は授業料を納めず卒業後、所得に応じ「拠出金」を支払う制度の導入などが浮上しています。
政府は具体的な施策や財源の在り方について年末に中間的な取りまとめを行い、来年の春から夏にかけて最終的な構想を示したい考えです。
安倍総理大臣としては自民党の憲法改正推進本部が改正項目として議論することにしている教育の無償化について、具体的な施策を示すことで、憲法改正に向けた機運を高める狙いもあるものと見られます。
-- NHK NEWS WEB