アニメーション業界の長時間労働や低賃金といった労働環境を改善しようと、30日、都内で労働基準監督署が制作会社の担当者らを集めてセミナーを開きました。
セミナーは国内で最も多くのアニメ制作会社が集まる東京・杉並区や練馬区を担当する2つの労働基準監督署が開き、制作会社の労務担当者やアニメーターなどおよそ190人が参加しました。
日本のアニメーションは海外でも高い評価を受けていますが、業界団体が3年前に行った調査では、制作者の労働時間は1日の平均で11時間に上り、ひと月の休みも平均で4日余りにとどまっていました。セミナーでは労働基準監督官が講師を務め、過去にアニメの制作会社に立ち入り調査を行った際、最低賃金を下回る給与しか支払われていなかったり残業が月100時間を超えるケースがあったりしたことを説明し、社員の労働時間を適正に管理し仕事に見合った賃金を支払うよう呼びかけました。
参加した40代のアニメ制作者は「給料が安いので病気になった時にどうなるのか不安があり、人並みの給料がもらえる業界に変わってほしい」と話していました。
新宿労働基準監督署の山下節子署長は「アニメーション業界の労働環境が改善されるよう今後も講習会などを通じて指導を行っていきたい」と話していました。
-- NHK NEWS WEB