創業家の反対で、昭和シェル石油との合併協議が難航している、出光興産は財務基盤を強化するなどとして、1400億円近い公募増資の実施を発表しました。これによって、創業家側の株式の比率が下がって、経営への影響力が低下するため、創業家側は裁判所に差し止めを求める仮処分を申し立てる方針を示すなど、強く反発しています。
発表によりますと、出光興産は発行済みの株式数の30%に当たる4800万株を新たに発行する公募増資を行い、国内でおよそ970億円、海外で415億円の合わせて1385億円を調達するとしています。
理由について、会社側は財務基盤強化のため、昭和シェル石油の株式を取得した際の費用の返済や、スマートフォンに向けた有機EL材料の製造など、将来性のある事業への投資のためとしています。
出光興産は、株主総会で合併を否決できる3分の1を上回る株式を持つ創業家側の反対で、昭和シェル石油との合併協議が難航していますが、この増資によって創業家側の比率は26%程度にまで低下します。
このため、創業家の代理人を務める弁護士は直ちに、「創業家の株式の比率の低下を目的とすることは明らかだ」として、裁判所に差し止めを求める仮処分を申し立てる方針を明らかにしました。
一方、会社側は「創業家の影響力の低下を意図したものではなく、引き続き説得を続ける」としていますが、出光興産の会社側と創業家側との経営をめぐる混乱は続きそうです。
-- NHK NEWS WEB