第157回芥川賞と直木賞の選考会が19日、東京で開かれ、芥川賞は沼田真佑さんの「影裏」(えいり)、直木賞は佐藤正午さんの「月の満ち欠け」がそれぞれ選ばれました。
第157回芥川賞と直木賞の選考会は19日、東京・中央区で開かれ、このうち芥川賞は沼田真佑さんの「影裏」、直木賞は佐藤正午さんの「月の満ち欠け」が選ばれました。
芥川賞の受賞が決まった沼田真佑さんは、北海道小樽市出身で盛岡市在住の38歳。
大学を卒業後福岡市で塾講師を務め、現在は盛岡市で塾講師などのアルバイトをしながら小説を執筆しています。今回の受賞作の「影裏」で文芸誌の新人賞を受賞し、芥川賞は、今回初めての候補での受賞となりました。
この作品は、盛岡市の会社に異動してきた男性が主人公で、元同僚の釣り仲間との交遊を、岩手県のみずみずしい自然を背景に描いた作品です。東日本大震災をきっかけに浮かび上がる釣り仲間の新たな側面や、主人公の思いなど、とらえどころのない多面的な人間の姿が描かれています。
一方、直木賞の受賞が決まった佐藤正午さんは、長崎県出身の61歳。
大学を中退したあと創作活動を始め、昭和58年に「永遠の1/2」で、すばる文学賞を受賞してデビューしました。3年前に出版した「鳩の撃退法」で山田風太郎賞を受賞したベテラン作家ですが、直木賞の候補になったのは今回が初めてです。
受賞作となった「月の満ち欠け」は、娘を亡くした男性が、娘の生まれ変わりだと主張する少女に出会うところから物語が始まります。一見つながりのない少女たちの奇妙な行動から、愛する人に再会するために「生まれ変わり」を繰り返す女性の存在が浮かび上がり、意外な結末につながります。
-- NHK NEWS WEB