日銀の黒田総裁は、金融政策決定会合で2%の物価目標の達成時期の見通しを1年、後ずれさせたことについて「残念だ」としたうえで、目標をできるだけ早く達成しデフレ脱却を果たせるよう今の大規模な金融緩和を粘り強く続ける考えを強調しました。
日銀は、20日公表した経済と物価の最新の見通し、「展望レポート」で、今年度と来年度の物価上昇率の予測をそれぞれ引き下げたうえで2%の物価目標の達成時期の見通しを「再来年度・2019年度ごろになる可能性が高い」と、1年、後ずれさせました。
達成時期の見通しを“先延ばし”するのはこれで6度目で、日銀の黒田総裁は金融政策決定会合のあとの会見で、「残念だ」と述べました。そのうえで「携帯電話の値下がりなどの一時的な要因に加えて、欧米に比べてデフレが15年続いた日本では賃金や物価が上がりにくいという考え方や慣行が家計や企業に根強く残っていることが影響していると思う」と述べ、日本ならではの要因が物価が上がりにくい背景にあるという認識を示しました。
その一方で、黒田総裁は、「こうした状況がずっと続くことはありえない。有効求人倍率が上がり、失業率が下がっていくなか企業の間では今後、賃金の上昇コストを価格に転嫁していく動きが出てくる」と述べ、今の大規模な金融緩和を粘り強く続けできるだけ早い時期に2%の物価目標の達成をめ目指す考えを強調しました。
-- NHK NEWS WEB