常連などから紹介を受けた客だけが入店できる東京・銀座の飲食店が、インターネット上で住所などを公開されたとして投稿者を明らかにするよう求めた裁判で、東京地方裁判所は、店の情報が一時公開されていたことや、飲食店が衛生の観点から社会的責任を負っていることを挙げ、「投稿は違法ではない」として訴えを退けました。
この裁判は、東京・銀座の飲食店が、インターネット上のサイトで店名や住所を無断で公開されたとして、プロバイダーの会社に対して、投稿者の情報を開示するよう求めたものです。
この店は、料理を理解してもらえる客に落ち着いた雰囲気で食事を楽しんでもらいたいとして常連などから紹介を受けた客に限って入店を認めていて、「店の情報を公開するかどうか選ぶ権利を侵害された」と主張しました。
一方、プロバイダー側は「飲食店の情報サイトで店の情報を公開していた時期があった」などと反論しました。
24日の判決で東京地方裁判所の中村さとみ裁判長は、「店の情報はすでに公開されていて、客観的に見て秘匿性の高いものではない」と指摘しました。また、「原告は、飲食店として、公衆衛生の観点から社会的責任を負っている。今回の投稿は、飲食店が連絡先を非公開にすることを批判する目的だと認められ、そのために過去に公開されていた情報を投稿したことは違法とはいえない」として訴えを退けました。
-- NHK NEWS WEB